給与所得者・年金所得者の所得税の確定申告 2

 前回に引き続き、給与所得者・年金所得者の方が行う確定申告のポイントをご紹介します。
(注:このコラムは、給与所得者・年金所得者の確定申告にポイントを絞っているため、所得税法の取扱いから抜粋し、かつ理解しやすいように平易な書き方をしております。そのため、個別の事実の解釈・適用についてはコラムの内容と異なることがあり得ることをご了承ください。)

「確定申告をしなければならない人」と「確定申告をしてもいい人」

 そもそも、両者は所得税法上明確に区分されています。

「確定申告をしなければならない人」に該当する場合は、収入の受取時に源泉徴収をされ年中に源泉所得税を支払っていても確定申告をしなければなりません(ただし、所得税の課税が源泉徴収で完結するもの(【例】預金利息・上場有価証券等の取引を源泉徴収有の特定口座で行っている等)は除きます)。

 一方で、「確定申告をしてもいい人」は確定申告をする義務はありませんが、個人の選択により確定申告書の提出ができる人です。義務もないのに確定申告をして追加の所得税を納付する人はいないため、実際には「確定申告をしてもいい人」=「確定申告をすれば還付を受けられる人」となっています。

 また、給与所得者の方は、年末調整で受けることができた各種所得控除・2年目以降の住宅借入金等特別控除(税額控除)の適用、これらの控除の誤りによる訂正も確定申告で行うことができます。ただし、年末調整の期限は翌年1月31日のため、1月31日までであれば勤務先に年末調整のやり直しを依頼することができます。

1.確定申告をしなければならない人

 次に該当する方は、翌年の2月16日~3月15日までの間に確定申告書を提出し、納税額がある場合には、原則同期間内に納付をしなければなりません。
(ただし、その年に納付した源泉所得税・予定納税があるため、計算結果が還付になる場合は、翌年の1月1日から申告書を提出することができます)

給与所得がある人の場合

 勤務先が行う年末調整は、給与額が2,000万円以下の人に対して、『所得はその勤務先からの給与収入(年内で転職した場合は、前職の給与収入+現勤務先の給与収入)のみ』という前提により、確定申告と同様の手続き(ただし適用できる所得控除等には制限があります)をその勤務先が代わりに行うものです。そのため、給与額が2,000万円を超える場合、2か所以上から給与の支払いを受けている(並行して2か所以上の勤務先がある場合をいい、常に勤務先が1か所で年の途中の転職によりその1か所の勤務先が変更になった場合は該当しません)場合、給与以外の所得があるなど次の条件に該当する場合は、たとえ年末調整を受けていても確定申告をしなければなりません。

(1)給与収入の合計額が2,000万円を超える場合
(2)勤務先が1か所の方で、かつその勤務先で年末調整を受けている場合 … 給与所得と退職所得以外の各所得の金額の合計額が20万円を超える場合
(3)勤務先が2か所以上の方で、かつ主とする勤務先で年末調整を受けている場合 … 主とする勤務先以外の給与収入給与所得と退職以外の各所得の金額の合計額20万円を超える場合

< ここに注意 >
 同族会社の役員とその親族の方で、その同族会社から給与の他に次のような支払いを受けている場合は、上記(1)~(3)の金額基準は適用されません。
 言い換えると、これらの方が次の支払いを受けている場合は、必ず確定申告が必要となります。
 ・貸付金利息
 ・土地、建物等の不動産の賃貸料
 ・機械、車両等の動産の賃貸料

 公的年金等の収入がある人の場合

(1)公的年金等の収入の合計額が400万円以下で、その公的年金等以外の所得の合計額が20万円を超える場合

< ここに注意 >
「公的年金等」とは国民年金法、厚生年金保険法などに基づく年金等の公的な年金のことを言います。そのため、生命保険会社等の個人年金契約により支払われる年金は含まれません。

 2.確定申告をしてもいい人

 給与収入・公的年金等の収入がある人で、次に該当する場合は翌年の1月1日から還付を受けるための確定申告書を提出することができます。また、任意の申告のため提出期限は特に設けられておらず翌年の3月15日を過ぎても提出することができます(※)が、5年を超えると還付を受ける権利が消滅するため5年以内には提出する必要があります。
  ・雑損控除、医療費控除、寄附金控除を受ける場合 
(これらの所得控除は確定申告でしか受けられません)
 ・住宅借入金等特別控除(税額控除)を受ける場合
(給与所得者は、適用2年目以降は年末調整でこの適用を受けることができますが、初年度は確定申告でしか受けられません)

※住民税について…3月15日後に確定申告書を提出した場合は6月の住民税の賦課決定への反映が遅れる可能性がありますが、その場合でも市町村は確定申告書の情報を確認後再計算を行い住民税の再調整をしています

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